結婚披露宴で司会者が、「ただいまから新婦は衣替えをいたします」と述べた話を、俳人の楠本憲吉さんが著書で紹介していた。「お色直し」の誤りだが、そういうこともあるかなと想像のつく言い間違いではある
横山ノックさんがある喜劇人の法要で「私が黙祷(もくとう)の音頭をとりますので…」と挨拶(あいさつ)した話が、愉快な人柄のしのばれる挿話として残っている。黙祷に音頭は変だが、これもありそうな言い間違いで想像の範囲内だろう
麻生首相が東京都議選の自民党候補を激励し、「必勝を期して」を「惜敗を期して」と言い間違えたという
「赤飯で祝杯」を略してセキハイでもなし、こればかりは想像に余る。「総選挙は麻生首相で」と野党に人気の絶大な首相のこと、胸に秘めた弱気がうっかり口をついたのかも知れない
言い間違えた翌日、首相は電子辞書を購入したそうだが、アリステア・マクリーンの海洋冒険小説「女王陛下のユリシーズ号」(早川書房)に辞書よりも役に立ちそうなせりふがあったので贈る。〈人が考えることをとめだてはできん。ただし、声に出して考えないことだ〉(村上博基訳)
6月23日付 編集手帳 読売新聞
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