越後3大花火… 編集手帳 八葉蓮華
海の柏崎、川の長岡、山の片貝、とも呼ばれている。いずれも新潟県、中越地方の夏から秋を彩る花火大会だ。これを越後3大花火という◆中越沖地震は1年前の7月だった。柏崎市を中心に甚大な被害をもたらし、直後に予定していた花火大会は中止のやむなきに。しかし「海の柏崎」は先日、見事に復活した。日本海に花開く尺玉の300連発や100発一斉打ちなど、圧巻の極みである◆昨日と今日は2夜連続で「川の長岡」。最初の中越地震で最も被害を受けた長岡市の花火は、信濃川が舞台だ。三尺玉も有名だが、今では地震被害の復興を願って放つ「フェニックス」が主役に加わった。広い河川敷の各所から一斉に打ち上がる超特大スターマインが頭上を埋め尽くす◆来月初めには「山の片貝」が控えている。小千谷市の片貝町の山あいに、世界最大の四尺玉が轟(とどろ)き、被災地の花火を締めくくる◆越後に限らず、全国で光の泉に歓声が上がっていることだろう。暑さも、災厄も、花火は豪快に吹き飛ばす。相次ぐ天災や嫌な事件を、束(つか)の間忘れて、昨夜は「川の長岡」を思う存分、堪能させてもらった。
8月3日付 編集手帳 読売新聞
八葉蓮華、Hachiyorenge