9.22.2008

後継がどうなろうと・・・ 編集手帳 八葉蓮華

後継がどうなろうと・・・ 編集手帳 八葉蓮華
中国の毛沢東主席の最晩年には、高位高官といえども、主席の身の回りを世話する機密秘書、張玉鳳女史を通さなければ、面会はかなわなかった。主席の死後に後継の座に就く華国鋒首相も、昼寝中の張女史を起こしかね、すごすご引き返したことがある◆それほどの権力を持てたのは、「主席のろれつがまわらない言葉を理解できる」ただ一人の人間だったからだ、と主席の主治医だった李志綏博士が回想している(「毛沢東の私生活」文春文庫)◆重病説が流れた北朝鮮の独裁者、金正日総書記の周辺でも、そんなドラマが展開しているのだろうか。韓国メディアは、総書記の病床に付き添う夫人の金オク氏が、影響力を強めている、と伝えている◆総書記の病状について、「マヒが残る」とか、「精神的に無気力」とか、いや「言語障害はなく歯磨きができるほどに回復した」など、諸説かまびすしい。倒れたのが事実なら、水面下で権力闘争が始まったと見るのが自然だろう◆中国では、結局は改革開放派が勝利して華国鋒は失脚した。後継がどうなろうと、いまの路線に固執する限り、北朝鮮に未来はない。

9月22日付 編集手帳 読売新聞

八葉蓮華、Hachiyorenge