1.04.2009

超高齢社会の到来 第二の人生で後世に残る仕事を・・・ 編集手帳 八葉蓮華

超高齢社会の到来 第二の人生で後世に残る仕事を・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 初詣での善男善女でにぎわう東京・深川の富岡八幡宮で、参道の鳥居をくぐるとすぐ左手に伊能忠敬の像があった。方位磁石を仕込んだ杖(つえ)を手に、旅の第一歩を大きく踏み出している。その時、忠敬55歳

 江戸勧進相撲の発祥地としても知られるこの神社で道中の無事を祈願した後、蝦夷地(えぞち)へと最初の測量に出た。天文や測地などを本格的に学び始めたのは、家督を譲って江戸に移り住んだ50歳の時からである

 現代に当てはめれば、会社を退職した後の60代なかばあたりで新たな挑戦を開始し、70歳前後で世界に飛び出す、といった感じだろう。第二の人生で後世に残る仕事を成した代表例だ

 「伊能大図」の日本列島214枚をつなげると30メートル四方より大きくなるという。これを復元して全国で巡回展示する準備が進んでいる。昨年末に、一部がまず富岡八幡宮でお披露目された

 今年2009年は団塊世代の全員が還暦を越える。超高齢社会の到来――などと喧(かまびす)しいけれど、さらに上の世代も含めて、まだまだ老け込む時ではないだろう。大図を描くために伊能忠敬が歩測した道のりは4000万歩にも及ぶ。

1月4日付 編集手帳 読売新聞

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