1.28.2009

「他人の金にせこい」天からの頂き物として1円たりとも無駄にしない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 作家の故・向田邦子さんは、お金を〈拾わなかった〉。天から降ってくるお金を感謝して〈いただいた〉

 「同じお金を懐へ入れるにしても、この姿勢の違いはあとあと心の高さ低さに関(かか)わってくる」と、親交のあった作家、やはりいまは亡き久世光彦(くぜてるひこ)さんが追悼の随筆集「触れもせで」(講談社文庫)に書いている

 まもなく就任1年を迎える橋下徹大阪府知事が本紙などとの共同インタビューで「外部から人材が欲しい。他人の金にせこい人を」と語っているのを読み、久世さんの一文を思い浮かべた

 「他人の金=税金」を拾い物として濫費(らんぴ)することなく、天からの頂き物として1円たりとも無駄にしない人を。「他人の金にせこい」という橋下流の表現を訳せば、そういうことだろう

 きのう、第2次補正予算が国会で成立した。税金という頂き物を、景気浮揚効果の十分見込める施策に振り向けたか。拾い物として、選挙民に気前よくばらまく心理は働いていなかったか。久世さんの言葉を借りれば、世評の芳しくない定額給付金に固執した麻生首相の「心の高さ低さ」がいまだに見極められないでいる。

1月28日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge