「落ちない」「ウンのつく」「勝ちずくめ」追い込みに精を出す・・・ 編集手帳 八葉蓮華
漱石門下に、のちの旧制一高の校長、安倍(あべ)能成(よししげ)がいた。夏目家では同じく門下の哲学者阿部次郎と区別して「アンバイヨクナルのアベさん」と呼ばれていたという
響きであったり、字面であったり、世間には元気の出そうな姓名があるもので、ワインの産地、北海道池田町の町長さんは「勝井勝丸(かついかつまる)」とおっしゃるらしい
正答の象徴「丸」を従えて「勝」が二つ、町のある十勝地方を含めて勝ちずくめである。縁起がいいと噂(うわさ)になり、ご本人が「受験のお守りに名刺を差し上げます」と語っている記事をヨミウリ・オンラインで読んだ
大学入試センター試験まで1週間、縁起物の話題が紙面を彩る季節である。今年は宇都宮動物園がゾウの糞(ふん)で作った「ウンのつく」お守りや、4年連続でJ2降格の危機をしのいだサッカーJ1・大宮アルディージャの「落ちない」お守りも話題になった
それぞれにお守りを飾った勉強机の前で、追い込みに精を出す受験生の姿が目に浮かぶ。なかには風邪をひいてしまった人もいるだろう。ゆっくり休むといい。焦らなくても大丈夫、その日までにはきっとアンバイヨクナル。
1月10日付 編集手帳 読売新聞
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