祈りの元号「平成」 内外、天地ともに平和が達成される・・・ 編集手帳 八葉蓮華
8年前、アフガニスタンの旧支配勢力タリバンがバーミヤン遺跡の大仏を爆破したとき、皇后陛下の詠まれたお歌がある。〈知らずしてわれも撃ちしや春闌(た)くるバーミアンの野にみ仏在(ま)さず〉
人間の心に宿る憎しみや不寛容の表れとして仏像が破壊されたのだとすれば、知らず知らずに自分もまた一つの弾を撃っていたのではないだろうか、と。「皇后陛下お言葉集 あゆみ」(海竜社刊)に収められている
森羅万象に痛覚を研ぎ澄まし、ともに悲しみ、ときに自身の心に責めの刃をあてる。仕事という言葉が適切かどうか分からないが、「祈り」という皇室の仕事は苛酷(かこく)なものだと、しみじみ思う
天皇陛下が昭和天皇の崩御に伴い、第125代天皇に即位されて、あすで20年を迎えられる。震災、テロ、戦争、いまの経済危機…歴史を顧みても四海波静かな時代などはそうそうないが、この20年も両陛下にはご心労の絶えない歳月であったろう
〈内平らかに外成る〉〈地平らかに天成る〉(内外、天地ともに平和が達成される)。祈りの元号「平成」のもとで産声を上げた赤ちゃんも、成人の年ごろである。
1月6日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 企業 会館 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge