1.08.2009

「口」から出る言葉も十人が十人、心をひとつにして「叶」・・・ 編集手帳 八葉蓮華

「口」から出る言葉も十人が十人、心をひとつにして「叶」・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 十全、十分と用いるように、「十」には「すべてまとまっているさま」の意味がある。漢字でも十の字は大切で、実り多き果実の「果」も十を欠けば「呆」に変わる

 「口」から出る言葉も十人が十人、心をひとつにして「叶(かな)」う。首相の口から出た言葉が叶わなくて、何としよう。定額給付金をめぐる麻生首相以下、政府・与党のまとまりのなさを見ていると、景気浮揚の果実を想像する前に呆(あき)れる心が先に立つ

 高額所得者に自発的な受給辞退を促す意向を、首相が撤回した。「さもしい」と語って、ひと月もたたない。いまは「ぜひ皆さんに使ってほしいな…」という心境だそうである

 政府・与党の中が受給派と辞退派に割れていた。野党から足並みの乱れを突かれるとみて首相が譲ったようだが、どこが頭やら、尾っぽやら分からない政権というのも困ったものである

 首相が年頭記者会見で披露した書き初めに、「平成廿(にじゅう)十一年新春」とあったことが話題になっている。辞書によれば「廿」は1文字で二十を意味し、下の「十」は余計という。「果」から抜け落ちた十の字はこんな所で遊んでいたらしい。

1月8日付 編集手帳 読売新聞

創価学会 企業 会館 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge