1.05.2009

味がなくなったらすぐに吐き捨てる・・・ 編集手帳 八葉蓮華

味がなくなったらすぐに吐き捨てる・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 日本では古来、スルメは縁起物である。正月飾りや婚礼、大相撲の土俵の下にも供え物として埋められる。生きのいいイカを開いて干す。手間をかけることで甘味やうま味が増して日持ちもする

 和歌山南漁協すさみ支所が特産のスルメイカを真空パックにしたはがき「するめーる」を作っている。1枚230円の年賀状バージョンは昨年末に2万枚を売った。明けまして…と届いたスルメをあぶり、友を思って杯を重ねた方もおられよう

 そんな正月気分が抜けない5日から通常国会が始まる。安倍、福田、麻生と首相の顔は今年も違う。麻生内閣は発足3か月余で支持率が急落した。自民党幹部は「味がなくなったらすぐに吐き捨てる。チューインガム政治でいいのか」と嘆く

 選挙目当てで国民に人気がありそうな人物をこぞって首相に推しておきながら、結束して政権を支えようとしない自民党も責めは免れまい

 賞味期限が近づいたら食品を店の棚から下げてしまうように、政治家を使い捨てにするばかりでは日本は貧しくなる。総選挙の年。噛(か)めば噛むほど味が出るスルメのような政治家を育てたい。

1月5日付 編集手帳 読売新聞

創価学会 企業 会館 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge