1.24.2009

きらめき揺れつつ 星座はめぐる・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 川端康成の「雪国」に月の描写がある。「月はまるで青い氷のなかの刃(やいば)のように澄み出ていた」。月齢でいまごろ、研ぎ澄ました鎌(かま)のような三日月がそうだろう。冬は月も星も美しい

 「まいど1号」など衛星8基を載せてH2Aロケットが宇宙に旅立ったきのうは夜の道で、あるいは家の窓から、〈オリオン舞い立ち/スバルはさざめく…〉と唱歌の一節を口ずさみつつ、空を仰いだ方もあったろう

 今年は「世界天文年」、ガリレオが自作の望遠鏡で初の天体観測をしてから満400年にあたる。宇宙飛行士の若田光一さんによる宇宙長期滞在も予定され、天空に心ひかれて過ぎる一年になるかも知れない

 胸をときめかせてH2Aの打ち上げを待っているとき、大分市の造船所で起きた事故の一報を聞いた。船と岸壁を結ぶ鋼製のタラップが落下し、2人が死亡、20人以上が負傷したという

 ひとくくりに「時空」と言うが、人間はガリレオ以降、はるか遠くの星群をも見ることができる目を携えたのに、ほんの1分先も、5秒先も見ることができない。親しみを増す「空」と、つれない「時」が胸に交差する。

1月24日付 編集手帳 読売新聞

冬 の 星 座(作詞者 堀内敬三)

 木枯とだえて さゆる空より 地上に降りしく奇しき光よ ものみないこえる しじまの中に きらめき揺れつつ 星座はめぐる

 ほのぼの明りて 流るる銀河 オリオン舞い立ち スバルはさざめく 無窮をゆびさす 北斗の針と きらめき揺れつつ 星座はめぐる


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