建設中の「東京スカイツリー」が少しずつ姿を現し始めた。4本脚の東京タワーに対して、こちらの脚は3本。ゆえに、それぞれ「東鼎(かなえ)」「西鼎」「北鼎」と呼ばれている
まず西鼎から組み立てが始まり、30メートルほど立ち上がった。鼎立(ていりつ)する脚は上に向かって延びながら、次第に結束して一本の円柱となり、地上450メートルの展望台を支える。憲法記念日のきょう、完成予想図を眺めると、どこか三権分立の精神をモニュメントにしたようでもある
「鼎」が気になり辞書を引く。帝都を定めることを〈鼎を定む〉と言うそうだ。首都の新タワーとして、なかなかふさわしい構造かもしれない
〈鼎の沸くが如(ごと)し〉という表現が載っていた。器の中の湯がわきかえるように多くの人が混乱するさま、を表す。こちらは、新型インフルエンザの脅威に直面している現状を連想する
パニックを防ぎつつウイルスに打ち勝つには、スカイツリーの展望台から状況を見通すような洞察力や指導力が必要だろう。辞書には無論、〈鼎の軽重を問う――統治者の能力を疑うこと〉もあった。そんな事態にはなりませんように。
5月3日付 編集手帳 読売新聞
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