5.18.2009

ネクタイの結び目に険しい目が向けられる日がいずれ来るのかも知れない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 作家のオスカー・ワイルドは語っている。〈ネクタイを上手に結ぶことは人生の重要な第一歩である〉と。現在のフォアインハンドと呼ばれる形のネクタイは、おしゃれな彼が流行の起源とも伝えられる

 同じ流行でも新型インフルエンザのほうは困りもので、メキシコではネクタイの着用を自粛する動きがあるという。結び目は鼻と口のすぐ下、締めたり緩めたりして手垢(てあか)にまみれるとウイルスが喜ぶ環境になるらしい

 日本国内の感染者が90人を超えた。すでに数百人が感染したとみる専門家もいる。ネクタイの結び目に険しい目が向けられる日がいずれ来るのかも知れない

 弱毒性が感染を繰り返すうちに強毒性に変異する場合もあるから油断は禁物だが、従来の抗インフル薬は有効という。ここで浮足立つ必要はない。マスクの着用や手洗いなどで身辺に用心しつつ、正しい情報に耳をすます冷静さをお忘れなきように

 心がけはネクタイの結び目に似ている。だらしなく緩めてはいけないし、息苦しくなるほどきつく締めすぎても体に良くない。用心の紐(ひも)を上手に結ぶことは、長期戦の重要な第一歩だろう。

 5月18日付 編集手帳 読売新聞
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