5.15.2009

“壊し屋”集団離党でもすれば、党批判を浴びせる側に回りかねない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 米国の第36代大統領リンドン・ジョンソンは語ったという。攻撃的な言動で知られた政府高官を、大方の予想に反して再任した時である。〈小便は外から室内にされるよりも、室内から外にされるほうがいい〉と

 民主党の代表選びに、このいくらか品位に欠ける格言を思い浮かべた。いわば世論に引きずり降ろされた形の小沢一郎氏が党内で恐縮するふうもなく、全身躍動する光景は不思議である

 代表選挙の方法も日程も小沢氏が主導し、自身の影響力を保ちやすい方向で決められたと報じられている。氏がヘソを曲げて集団離党でもすれば、屋外から党批判の小便を浴びせる側に回りかねない。献金疑惑の説明もしない人に党内が勝手を許すのは、“壊し屋”伝説に恐れをなしてのことだろう

 せわしない選挙日程には、各紙の世論調査で小沢批判が噴き出す前に――との思惑もあると聞く。民主党ほど「民意」の一語を多用する政党はないが、これからは多少なりとも恥ずかしそうに使ってほしいものである

 小便の格言が似合うようでは、「自民党より清潔」という宣伝文句もいささか怪しくなってくる。

 5月15日付 編集手帳 読売新聞
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