中国を最近訪れた知人の話。若い女性に日本のアニメを知っているか尋ねたところ、たちどころに「火影忍者」「海賊王」「死神」など20余りの題名を挙げた。上から「NARUTO」「ONE PIECE」「BLEACH」が原題で、ネットに流れる中国語字幕の動画で見たという
著作権の侵害は問題だが、中国政府の「愛国反日」教育で育った世代に、日本人の嗜好(しこう)や感性といった〈リアルな日本人〉像を最もよく伝えてくれているのが、ネット経由のアニメであるらしい
世界各地で日本のアニメの魅力を講演している櫻井孝昌さんは、アニメ好きが高じて日本の若者ファッションを着こなすようになった海外の若者にもたくさん出会った。近著「アニメ文化外交」でそう紹介している
アニメの主人公が興じているのが気になって将棋を覚えた若者や、字幕がもどかしいという理由で日本語の勉強を始めた若者もいたという。ソフトパワーとして活用できる分野は多い
櫻井さんの言うように、海外の若者の人生に日本のアニメがどんな影響を与えているかを、日本人は知らなすぎたのかも知れない。
5月25日付 編集手帳 読売新聞
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