東京タワーが黄色と黒の縞(しま)模様だったら、どうだろう。阪神ファンは大喜びだと思うが、景観的にはちょっと遠慮したい気がする。これは冗談ではなく実際に検討されていた
いきさつを記した「東京タワー物語」(前田久吉著)によると、航空機の安全のためにタワーを目立たせる必要があり、真っ先に提案されたのが、道路工事などの危険表示に用いる黄色と黒の縞模様だったそうだ
さすがにそれは…という声が勝って、インターナショナル・オレンジと呼ばれる朱色と白のコンビに落ち着いたらしい。念のため、巨人のチームカラーがオレンジであることとは関係がない
半世紀を過ぎて今、2代目タワー「東京スカイツリー」の工事が進んでいる。どんな装いになるのかと期待半分、不安半分でいたところ、先日、基本カラーは「藍白(あいじろ)」と発表された
かすかに青みがかった白磁のような色で、「天空を背景としながら多彩な色を包容する白」という。派手な色遣いでなくとも、航空機対策は高性能点滅灯で大丈夫とのことだ。景観を大切にしたい時代にふさわしいタワーとして、姿を現してもらいたい。
3月8日付 編集手帳 読売新聞
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