3.22.2009

「赤字国債」埋蔵金などというものは、そうそう当てにはできまい・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 東京は日本橋、日本銀行本店の旧館は1896年(明治29年)のきょう、落成披露された。東京駅と同じ、辰野金吾の設計である。江戸時代に金座があった場所を、三井組から買って建設した

 昭和20年代に経済ジャーナリストが裏話をまとめた本に面白いくだりがある。〈土には金分が含まれているだろうと、基礎工事で掘り返した土を選鉱、精錬させたところ、予想以上の純金がとれ、土地の代金以上のものになった〉(三宅晴輝著「日本銀行」)

 後ろに〈――という話も伝わっている〉と続くので、どこまで事実かは定かでないものの、日銀のホームページにも「整地前に金粒の採取を実施した」とあり、文字通りの埋蔵金が出たことは確からしい

 だからといって、埋蔵金などというものは、そうそう当てにはできまい。現代の埋蔵金として、特別会計の積立金などが経済対策の財源になっている。だが、これは本来、国債の償還に使うべきものを転用するだけのことだ。結局のところ、赤字国債の発行と変わらない

 埋蔵金の夢は、110年以上も昔のエピソードの中に埋めておくのが賢明のようである。

3月22日付 編集手帳 読売新聞
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