姿形からいろいろな空想が生まれるのも漢字の面白いところだろう。〈国という字は/王さまがざぶとんにすわって/しゃぼん玉を/ふいているような字だなあ〉。以前、本紙に載った小学生の詩である
漢字の面白さを広める仕事だからといって、上に立つ人が王様気取りで組織を私物化していいわけもなく、ましてや世間から浴びる疑惑のまなざしはどこ吹く風と、座布団でのほほんと遊んでいてよかろうはずがない
財団法人「日本漢字能力検定協会」による公益事業とは名ばかりの“もうけすぎ”の実態に、文部科学省の検査が入って1か月がすぎた。改善を指導する文書も出ている
理事長親子が代表を務める四つの会社に協会から、業務委託費の名目で過去3年間に66億円が支払われていたというのに、何ひとつ説明するでもない。協会のホームページには「弊協会の報道に関する件で…ご心配をおかけしております」と、報道機関が騒動の発生源とでも言いたげな一文を掲げるのみである
座布団を外し、相手にしっかり顔を向け、誠意をもって語る。しゃぼん玉を吹くための口ではないでしょ、王様。
3月13日付 編集手帳 読売新聞
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