3.31.2009

「あきらめて濡れて行きな」いずれが先に世論から邪魔がられるのか・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 にわか雨に降られ、軒先を借りて雨宿りをする。もう小降りになるか、そろそろやむかと思っているうちに雨脚が強まり、往生した経験は誰にもあろう。〈本降りになって出ていく雨宿り〉の江戸川柳そのままに、土砂降りのなかを駆け出すこともないではない

 民主党の小沢一郎代表もいま、雨宿りをしている。違法献金事件で公設第1秘書が起訴されても代表職にとどまったのは、世論の降らす批判の雨が小降りになるのを待っているのだろう

 千葉県知事選挙の結果を見ると雨勢は増している。降り始めのころに辞任していれば…と悔いる日がくるかも知れない

 自民党は自民党で、事件がわが身に及ぶことに怯(おび)えて空模様をうかがう。時とともに支持率が上向くとみて麻生首相が解散・総選挙を先に延ばしているのならば、こちらもずぶぬれで駆け出す危険と隣り合わせである

 〈おまえがた本降りだよと邪魔(じゃま)がられ〉という句もある。「本降りだからあきらめて濡(ぬ)れて行きな」と、軒先を追われる人を詠んでいる。与野党の主役ふたり「おまえがた」の、いずれが先に世論から邪魔がられるのかは知らない。

3月31日付 編集手帳 読売新聞
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