3.30.2009

薄れゆく旬「一年中が旬」ハイテク植物工場が増えている・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 食べ物の旬は、季節を先取りする「走り」や、よく出回る「出盛り期」を指す。春を迎えた今ごろは、新タケノコに続いて初鰹(はつがつお)がまもなくだ。旬の味を楽しみにしている方は多いだろう

 対照的なのが「一年中が旬」である。天候に左右されず、季節にも関係ない。太陽光のほか、蛍光灯や発光ダイオード(LED)などを使って、湿度や温度、養分をコンピューターで制御する。計画生産の可能な“ハイテク植物工場”が増えている

 カゴメは、契約菜園を含めた全国30か所のガラスハウスで、年1万トンを超える量のトマトを生産し、生食用に出荷する。「エコ作」というブランドで販売されているのはJFEライフのレタスやサラダ菜だ

 南極の昭和基地では、ベンチャー企業製のプラントで越冬隊員が南極産の新鮮なレタスを味わった。政府はこうした工場を「農商工連携」の有望株と考え、普及に弾みをつけようと狙う

 日本の農業は生産性が低いといわれるが、ハイテク工場では20期作以上ができる緑野菜も夢ではない。薄れゆく旬は少々さみしくもあるが、旬を感じさせない農業がこれからの旬らしい。

3月30日付 編集手帳 読売新聞
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