3.09.2009

「中国社会に渦巻くマグマ」貧しくとも皆が平等だった・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 中国で「9(チュウ)」は「久(チュウ)」と同じ発音になり、「永(ヨン)久(チュウ)」にも通じる縁起の良い数字だ。だが、現代中国の歴史では「9」のつく年は必ずしも喜ばしいことばかりではない

 1949年には新中国が誕生したが、59年はチベット動乱、大躍進の失敗で大飢饉(ききん)に襲われた。69年は文化大革命の嵐の真っただなか。79年には中越戦争が起き、89年は民主化弾圧の天安門事件で世界的に孤立した。99年は在ユーゴの中国大使館が米軍機の誤爆を受け、反米デモが沸き起こった

 09年は、世界同時不況の津波を受け、高度成長路線に黄信号が点滅し始めた。北京では今、国会に相当する全国人民代表大会が開かれ、内需拡大をテコにした景気回復策について審議が続く

 金持ちと貧者。都会と地方。都市と農村。それぞれに格差は開くばかりだ。社会主義・中国が、資本主義・米国を上回る格差社会になったとの指摘もある

 業を煮やした人々が、新政党「中国毛沢東主義共産党」の創設に乗り出したという。貧しくとも皆が平等だった毛時代への郷愁なのだろう。中国社会に渦巻くマグマが、破裂する年になるのだろうか。

3月9日付 編集手帳 読売新聞
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