3.15.2009

2016年の五輪招致をめざす東京都、金色の水引細工・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 遣隋使がもたらしたものは数々あるが、祝儀袋などに欠かせぬ水引もそうらしい。小野妹子が帰朝した際、隋の答礼使からの贈り物に紅白の麻紐(あさひも)が結ばれていたことが始まり、とされる

 航海の無事と平穏を祈ったものという。この知識は長野県の飯田水引協同組合のホームページに教えてもらった。飯田市は日本一の水引の産地である

 水引も単に華やかな和紙の紐と思っては間違いで、多彩に編み上げられる水引細工は芸術品だ。長野五輪の記念品やパラリンピックの入賞者に贈られた月桂冠(げっけいかん)は、飯田水引で作られていた

 2016年の五輪招致をめざす東京都に先日、金色(こんじき)の大きな宝船の水引細工が届いた。飯田の職人10人が3か月をかけた縁起物である。東京五輪・パラリンピックのシンボルマークが五色の水引をデザインしていることもあって、招致熱は東京以上と聞く

 開催地決定まで、あと半年。近く来日するIOC委員には、東京は無論のこと、日本中の期待をアピールしなければならない。最後の高波を乗り切れるか否かという時、招致決議に手間取っている国会よりよほど、水引の応援は心強い。

3月15日付 編集手帳 読売新聞
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